2023年2月15日水曜日

【20230215:水】+++映画『Archive』を2回続けて見た+++

 


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ぼくはアマプラ中毒かな?

SF映画『Archive』は車の事故で亡くした愛妻を復活させようという男性ロボット工学者の物語だ。こういうテーマの映画は最近よくある。人間の記憶や感情をアンドロイドの記憶中枢に移植ダウンロードというやつだ。だから切り口が斬新と言えば、今ではそうでもないと思う。

ユニークだったのは米国映画なのに舞台が日本の山梨県ということ。しかし、ドローン撮影される森林や豪快な滝や湖のある風景は日本というより他の国のような気がする。

そしてブレードランナーのように、欧米人の考えるウルトラアジアンテイストの怪しい雰囲気のレストランとかも少しだけ登場する。

しかしほとんどの舞台はCGで合成したような渓谷に忽然と建つ研究施設の中のまるで宇宙船の中のような空間で展開していく。

低予算で作られた映画だと素人のぼくでも思う。

それでもだ。

ぼくをして映画のエンドロールを注視させ、なおかつすぐ2度目を見る気にさせたのは、セリフが少ない映画であることや暗い環境音楽の効果、さらにはJ1(ジェイワン)とJ2(ジェイツー)という旧型ロボットに感情移入させられてしまったからにほかならない。

主人公のロボット工学者は2体のロボットとその進化系の3体目のアンドロイドの製作途中だった。

J1は知能が5~6歳程度。姉ということになってる。腕もなく、会話もできないが、よちよち歩行はできた。外で作業する工学者を研究施設の外通路で待つ姿がいじらしかったりする。

妹にあたる2体目のロボットはJ1より進化し、知能は15~16歳程度。人なら思春期でもちろん自我もある年頃。会話もできるし、腕もあり、歩行能力もJ1よりあるから、工学者と一緒に屋外での作業をこなすこともできる。彼からは姉の世話をするようにも言われていて、姉思いなのが彼女の動作からもうかがえる。

そして、特筆すべきはJ2は夢を見るし、悲しみや絶望という感情を持っていることだった。

ブレードランナーの原作のタイトルが「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」だけれど、その哲学的な問いをいとも簡単に飛び越えてしまっていた。

J1とJ2が見た目と能力が工場ロボットや初期の人型ロボットだとすると、J3はいきなり最新のアンドロイドだった。知能も身体機能も人間と同等だった。その短期的進化があまりにも唐突すぎるのだけど、3体目の新型製作に没頭する彼を見るJ2は、新型J3に嫉妬し、自分たちはトイストーリーのように古いおもちゃのように見捨てられる不安と悲しみを感じていたことだろう。SFとしてはありえないような陳腐な設定だけれど、見ていてかわいそうで、そんなJ2やJ1にぼくは感情移入してしまうのだった。



特に、J3と人間同士のように会話してるロボット工学者を柱の陰からJ2が盗み見するシーンや、J3を襲った懲罰として電源を切られ、数日後に再起動された時、自分の脚の部品がJ3に使われたのに気づいたときの彼女の絶望感と深い悲しみに心が痛んだ。

そしてこれもあり得ないことだと思うのだけれど、J2は自ら湖に入水する選択をするのだった。

映画の最後ですべてがわかる大ドンデンガエシがあり、そうきたかと思ったのだけど、その結末は有り体と言えば有り体だろう。

日本の山梨が舞台ということに関連し、監督は攻殻機動隊のファンなのかもしれないとぼくは思った。

一つにはJ3の人工皮膚を作る工程は、押井守監督の『イノセンス』のオープニング3D動画に似てるし、その後J3が目覚めるシーンは攻殻機動隊の草薙素子がセーフハウスで目覚めるシーンとも似てると思ったからだ。


低予算がゆえのつっこみどころが多々ある映画だけれど、ぼくは人間の感情をもったJ2の悲哀やもじもじとしてかわいいJ1に完全にやられてしまった。

そんなわけでこの映画はぼくの好きな異色のSF映画となった。

機会があったら是非見てください。

2021年1時間49分『アーカイヴ』監督:ギャヴィン・ロザリー

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