2023年2月12日日曜日

【20230212:月】+++ドキュメンタリー映画『太陽の塔』(2018年)より+++

 


■□

先日『岡本太郎展』を見に行ったのだけど、その前に見ておけばよかったのがこのドキュメンタリー映画『太陽の塔』だった。

「岡本太郎→アメーバー、南方熊楠→菌類」という対比や太陽の塔とチベット仏教、曼荼羅への言及も面白かった。「自発的隷従」という国民性を端的に表した言葉や、これから先は「成長でなく成熟」という言葉も納得するものだった。

さらには、東日本大震災の原発をめぐる登場人物の発言がぼくのココロをつかんで離さなかった。特に民俗学者で学習院大学教授の赤坂憲雄氏の発言がココロにささった。『資格がない』というフレーズがね。

備忘録として以下にその発言の抜粋を記しておくことに。

興味あったらどうぞ。

---------------------------------------------------------------

思想家/人類学者 中沢新一

社会を作っているいろいろな原理、でそれは矛盾に満ちたものだけど、この世界はそれについて考えるなというのが大前提になっていますね。でそのためにマスコミとか教育とかいろんなものが総動員して考えるな考えるな。
考えそうなやつをバラエティー番組に出してきてわーって笑っちゃうわけね。で何かちょっと考えてるふりしてるコメンテーターとかタレント出して、「あ、その人たちが言っていることでいいや」ってことで済ませちゃうんですよ。

だけど3.11みたいな出来事になるとそうはいかなくなったでしょう。その時に考えざるをえなくなる。エネルギーのことも考えなければいけない、農業のことも考えなければいけない、人間のつながりもこれでいいのかとか、そういうことを考えさせられたわけね。ところがあれが数年経つともうまた同じになってくるんですよ。あんなこと考える必要は無い。で、原発は再稼働しないとこの社会はちゃんと動いていきませんよって言うメッセージがどんどんどんどん送り込まれてくるようになって、また考えなくなっているわけですね。

なんかまた元に忘れちゃった。なぜ忘れたかって言ったらそれは忘れさせるようにしてるって言う力がかかっている面もありますね。

---------------------------------------------------------------

民俗学者/学習院大学教授 赤坂憲雄

原子力発電所って福島では200%安全だって言い聞かせられていたんですよ。そのくせその原発を管理する人たちはきちんとした安全対策をとってなかったわけですよ。しかもその安全対策に何百億かかるからとか、ちんけな額じゃないですか。

その時に僕はいろんなことがむき出しになったなと思いますけども。
1つは、我々日本人は原発を持つ資格がない。モラルにおいても、技術においても、その社会のシステムにおいても、あんな強大な自分たちがコントロールできないものを扱う資格がないよ。

ヘリコプターから何かしょんべんみたいな水ひっかけましたよね。つまり見ちゃったんですよ、われわれは。途方もないカタストロフィーを。でもそれを引き受ける事ができない。引き受ける覚悟もない、だからなかったことにしたいんですよ。で、なかったことにするためにみんなでよってたかって隠蔽、嘘と隠蔽をして僕は巨大なモラルハザードが起こったと思います。

で僕は思いましたけどもソ連邦と言う国家体制はチェルノブイリの6年後に崩壊するんですよ。1つの理由だって言われています。
つまり、原発の事故っていうのはそのくらい巨大な負の遺産を我々に残してしまったんだと思います。そこから逃げようたって逃げられないのに、今一生懸命逃げようとして、なかったことにしようってことをやっている。

津波でひっくり返されたビルを前にして巨大な防潮堤作ってるじゃないですか。もう本当に巨大ですよ。唖然とするような。あんなものが本当に沿岸部の村や町を守ってくれるか。次の震災が来たときには、もうコンクリートなんてボロボロになっていて崩れてますよ。でもメンテナンスするだけの経済力もわれわれはない。それは未来の地域社会、地域の村や町を守ってくれない。もう皆気がついてますよ。






3 件のコメント:

  1. 赤坂さんの本ならウチにいっぱいありますよ。今度何かお持ちしましょう!

    返信削除
  2. ううん。借りても読めずに借りっぱなしになる危険大だから。笠井くんのおすすめのタイトルを教えてちょ。お客さんから借りて読めないでいる本が既に何冊もあるんだよね。赤坂氏の指摘は鋭くても彼の話し方はやさしくてそこも人として魅力だなぁ。

    返信削除
  3. あはは。そうだね。

    何がいいかなあ〜
    『東北学へ』とか『異人論序説』とかかなあ・・・
    いや、短いのがいいか・・・
    考えてみます〜

    返信削除