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先日のこと、お客さんがローラン・トポールが好きと言うので、実はトポールって作家でもあったし、俳優でもあったと言う話をした。
作家としてのトポールを彼女は知っていたのだけど、俳優としてのトポールは知らなかった。
トポールが出演してる映画の一つに『ノスフェラト』と言う吸血鬼映画がある。
ぼくはそれを何十年ぶりかでDVDで見た。昨夜のことね。
そこでぼくはこの映画のいろんな記憶が吹っ飛んでいることを知って少なからず驚いた。
まずこの『ノスフェラト』の監督がヴェルナー・ヘルツォークであったこと!
ぼくの好きな監督の一人なのに。
そしてドラキュラ伯爵がクラウス・キンスキーであったことも全く失念してた!
彼はヘルツォーク映画の常連。
ナスターシャ・キンスキーの父親でもある。
そして、ドラキュラ伯爵に噛まれてヴァンパイヤーになってしまうのが、ヴィム・ヴェンダースの映画の常連、ブルーノ・ガンツ!
若きブルーノ・ガンツ。髪の毛もフサフサだ。ぼくは彼が出演してたことも完璧に忘れてた!
そして、彼の若くて美しい妻が、イザベル・アジャーニ!
ドラキュラ伯爵は彼女の首に喰いつくために陸路だと4週間もかかる山奥から、海路を使ってやって来たのだ。
結局、ぼくが覚えてたのは、ドラキュラ伯爵を主人として崇めるしもべ役のローラン・トポール だけだった。。。
トポールは奇声を発し、熱演しているのだ。
ぼくの記憶のなんといい加減なことか!!!
ところで、この映画でドラキュラは黒い棺に入って、海路でもって街に着岸する。その船の乗組員は船長も含め皆ペストで死に絶え、無言のように運河に横付けになる。
船倉にはおびただしい数のネズミが蠢いていて、それらが船から街へ繰り出していく。(ネズミが苦手な人にはトラウマになりかねないくらいの数だ)
街の住人はドラキュラ伯爵に血をすわれて死ぬのではなく、ネズミを媒介にしたペストでどんどん死んでいく。
どうせ死ぬならと戸外で最後の晩餐をし、音楽に合わせて踊ったりする人々も。
過去に疫病が流行ったヨーロッパでは、得体の知れない魔物が、ここではドラキュラが大きな禍をもたらしたと考えたりしたのかもしれない。
以前この映画を見たとき、ステレオタイプのドラキュラ映画と違うなと思ったのだけど、コロナ禍の今だからか、映画と現実がダブって見える箇所もあった。
ローラン・トポールだけじゃなく、見るにあたいする映画だとぼくは思ったのでした。
*写真はお店の書棚に貼ってるトポール展のDM。もちろんトポールの作品。
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