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母が他界した。
午前4時過ぎに施設の介護スタッフから電話が入った。
4時9分に見回りしたら息をしてなかったと。
その12時間ほど前、ぼくは母のベッドの横で母の手と頭をさすりながら母への感謝の言葉を、「お母さん、ありがとうね」を繰り返していた。母は時折頷くような仕草をした。
「何も心配することはないから。お母さんとお父さんのおかげ。しっかりやるから安心して」、そう言うと指や顔の筋肉がほんの少しだけ緩んだような気がした。
また明日来るからねと母に言って部屋を出た。
それがずっと昔のように感じた。
父の突然の他界と異なり、母はこの2年で急速にそして着実に老衰の過程を辿ってきた。それは今思えば誰も止めらない津波のような巨大な何者かの意志のようだった(それを人は運命と呼ぶのだろうか)。だからぼくにも覚悟はできていたし、準備もそれなりにしてきたのだった。ついにこの日が来てしまったかとリビングの窓ガラスが次第に明るさを増すのを見ながら思った。
ぼくはこの日のために用意して来たココロのスイッチを入れた。
午前9時半過ぎ。
施設内の母の部屋。
医師により、死亡が確認された。
『午前9時33分。老衰のため死亡。』
おでこも手も冷たかったことを別にすれば、母はいつもみたいに眠っているように見えた。
苦しむことなく自然に逝けたよね、お母さん。
葬儀会館の車で11時半ごろ施設を出た。
施設の職員の人たちが数人見送ってくれた。
母の家の前を経由してもらい葬儀会館に向かった。
こんな形でしか家に帰してあげられなくて悲しい気持ちになった。
今日は文字通り一睡もしてなくて長い1日だったけれど、葬儀会館との打ち合わせも市役所での手続きも知らせるべき人への連絡もやらなければならないことはほとんどすべてやりきった。父の死から怒涛のような一連の葬儀もろもろ、そしてその後の銀行等各種手続きで疲弊しきって体調を崩した時とは全く違っている。
だからぼくは大丈夫。
お店の方は8月29日(土)・30日(日)・31日(月)は臨時休業することにした。無駄足させてしまうお客さんには本当に申し訳ないけれど、どうかよろしくお願いいたします。
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