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ぼくの映画好きな友人がよく言ってたんだ。
「現実は理不尽なことが多くて、悪い奴ほど得をしたりする過酷な世界だからせめて映画の中では心安らげたいんだ。だからドキュメンタリーとか暗い映画は見ないんだ。」
と、おおよそこんなことをね。
ぼくは彼とは逆にドキュメンタリーや暗い映画(つまり厳しい現実的な映画)こそ見ていた。
貧困問題、人種問題、幼児虐待、性被害・・・そんな問題を取り上げたり、静かに糾弾するような映画を見るようにしていた。
でも、現実だけを突き付けられ、その解決の糸口も、解決の光も見いだせない映画は友人の言うように確かに辛いだけな気もした。
例えば、イタリアのダルデンヌ兄弟監督の映画をぼくが好きな理由の一つはラストシーンにかすかではあるけれど希望の光が見いだせるからだった。
つい最近アマプラで見た4作品はぼくのココロを優しくほぐしてくれた。
一言でいえば、どれもとてもチャーミングな映画だった。
別の言い方をするならば、人は捨てたものじゃないと、再び人に期待をしたくなるような映画だった。
監督はオリヴィエ・ナカシュとエリック・トレダノ(ぼくは、この両監督の名前をすぐ忘れてしまうのだけどね)。
これらはフランス映画。
以下ぼくが見た順番。
「スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」
「最強のふたり」
「セラヴィ!」
「サンバ」
どの映画も本当にチャーミング。
銃撃も殺し合いもない。
見た後で基本的に幸せな気持ちになった。
セラヴィ以外は実話をもとにしているのもいい。
話はズレてしまうけれど『理想』っていう言葉に紐づいてる出来事がぼくにはある。
それは前職の時「理想論」と一蹴されるようなことが時々あった。
そのたびにぼくは思ったのだけど、学校ですら『理想』を語れなければ、一体どこで語れるというんだ?と。 それがたとえ現実とは違っていても、少なくとも学び舎の中だけでも『理想』を掲げることができなければおわりだろうと。
映画の中でもそうだと思う。
現実論ばかりを唱えることは希望の芽を摘むことにならないか、とか。希望の芽をはぐくむのも映画の役目なのかも、とか。
なんてことを、これらの映画を見て改めてぼくは思った。
しばらくはこういう映画を見続けたいなぁ。
今はそんな気分であります。
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