2022年3月14日月曜日

【20220314:月】+++最近見た番組の中から+++

 


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ETV特集『揺れながら 迷いながら〜民族研究家・結城登美雄が見た三陸〜』と『福島モノローグII』の2本のドキュメンタリーは最近ぼくがNHKプラスで見た中で特に心を動かされたものだった。

前者は震災後の三陸の漁村の現状とその問題点を国の食糧自給率の絶望的低さと漁業従事者の高齢化と後継者の漁業離れに焦点を当てるという啓蒙的側面のみならず(多くのドキュメンタリーがそこで終わらざるを得ないのだけど)、それを打開していく道筋となるヒントを結城さんが提示してくれている点が素晴しかった。

本来ならば政治家や行政がやるべきところを結城さんが個人で調査研究されているのだ。

結城さんのゆっくりとした穏やかな口調だからこそなのか、彼の語りはぼくのココロにストレートに響いてきた。

声高な憂国とは違うものだとぼくは思った。

都会で消費社会の歯車として身も心もぼろぼろになって生活していくのなら、儲かりはしなくても人間らしい自然とむきあった生活を第一次産業でというのは、一つの現実的な選択肢であり価値観だと思った。


後者はタイトルにⅡとあるので、続編のようだった。

福島第一原発近くに一人で住み続けている松村さんという男性の日常の一コマ一コマを追ったドキュメンタリーだった。

放射能汚染され退避した住民のあとに残された家畜やペットの面倒をみたり、放置された田んぼを一人で手入れしコメを収穫したりして生まれ育った土地にこだわり続けている男性がときおり語る独白がぼくのココロにしみる。

人ひとりの力は、馬一頭の馬力に及ばないけれども、一人力の日々の積み重ねは荒れ地を田畑に変え、砂漠を緑の大地に変えることだってできることをぼくらに教えてくれる。

質の高いドキュメンタリーで土や農村にこだわった小川伸介の作品や、松村さんが孤軍奮闘する姿はアフガンで亡くなった中村哲氏と似ているものがあるとぼくには思えた。

映画監督であり俳優でもある塚本晋也のナレーションもとてもマッチしていた。


どちらももし見る機会があったら是非見てほしいな。


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