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中高年になると誰しも記憶力の衰えを感じるし、そういう話題になったりもする。
ぼくも脳内のハードディスクの残量がほとんどなくて新たなことが記憶しにくくなってるだけでなく、昔のちょっとしたこともなかなか思い出せないのが今ではデフォルトになっている。
だから思い出すのをすぐに諦めちゃう。
ま、いいやって。
でも、どうしても気になることがあって、そのことをずっと思い出したいと思ってると、不思議なことにあるときは数時間後、またあるときは1日後、そしてまたあるときは数日後にふっと思い出したりする。
それはとても不思議な感覚なのだ。
深い霧の中からボヤッと輪郭が現れてきて、徐々にはっきりしていくように。
数日前こんなことがあった。
数十年前、大好きなたこ焼き屋さんが瑞穂区にあった。
雁道通り商店街から堀田駅の方に行くとあった公設市場の近くにそのたこ焼き屋さんはあった。店主は高齢のご夫婦だった。
大きなタコが一つだけ入って、出汁が効いたたこ焼きで、シンプルな醤油味だった。
ソースやマヨネーズも何もない、シンプルそのもののたこ焼きだった。
ぼくは時々無性にそのたこ焼きが食べたくて電話で30個ほど注文して買いに行った。
そのたこ焼き屋さんはその後店をたたんだ。
熱田区六番町あたりに移転したときいて、移転先にも買いに行ったりした。
でもぼくはそのたこ焼き屋さんの店名を思い出そうとしても全く思い出せなかった。
公設市場の名前も思い出せなかった。
またいつか思い出せるさ・・・と頭の隅っこに置いておいた。
一週間くらい経った時、不意に公設市場の名前が蘇ってきた。
『エビス大黒市場』
そしてその一日後、この市場の名前に引きずられるようにたこ焼き屋さんの名前も急に思い出した。
『たこん壺』
ネットで検索すると昭和区桜山と半田市に同名のたこ焼き屋さんが今でもあることがわかった。
それらのお店が暖簾分けしたお店なのかどうかわからない。
もうあのおじいさんとおばあさんのたこ焼きを食べることはできないけれど、今でもその味だけははっきりと覚えている。
それも不思議だけどね。
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